内田理久(うちだりく)選手―プロフィール・戦績まとめ―「大型サウスポー」の戦術的優位性

ソフトテニス 男性二人の写真
小田嶋俊佑
著者:小田嶋俊佑 (おだじましゅんすけ) Hitting編集部長
選手特集 日本代表・NTT西日本の頭脳派サウスポー

内田理久(うちだりく)の全貌:使用ラケット・戦績から読み解く「最強サウスポー前衛」の強さの秘密

ソフトテニス界屈指の強豪・NTT西日本に所属し、日本代表として世界と戦う内田理久(うちだ りく)選手。180cmの恵まれた体格と希少なサウスポーという武器、そして論理的な用具選びで知られる彼の「強さの理由」を徹底分析します。出身・経歴・プレースタイルなど、ファン必見の情報を網羅しました。

主要出典:NTT西日本公式サイト、YONEX公式チャンネル、JOC選手プロフィール、ソフトテニスマガジン 等。

プロフィールと身体的特徴

アスリートとしての理想的なスペック

内田選手を語る上で欠かせないのが、「180cmの長身」「左利き(サウスポー)」という、ソフトテニスにおいて圧倒的なアドバンテージとなる身体的特徴です。

氏名内田 理久 (Uchida Riku)
生年月日1998年5月25日 (26歳)
所属NTT西日本
ニックネームりく
ポジション前衛
出身地島根県
出身校浜田ジュニア → 浜田市立第一中学校 → 三重高等学校 → 早稲田大学
身長 / 体重180cm / 70kg
血液型B型
利き手左利き
趣味歌うこと、ゲーム(ブロスタ等)
試合中にのむものポカリスエット
差し入れされてうれしものフルーツ
試合前ルーティーン靴ひもをむずびなおす

出典:NTT西日本選手紹介、JOC杭州アジア大会プロフィール。

経歴:勝利の軌跡

全世代で頂点を極めたエリート街道

  1. 小学生時代(島根・浜田ジュニア):全国小学生大会(春の全小)で4年生・5年生時に連続優勝。早熟の天才として名を馳せました。
  2. 中学・高校時代(三重高校):ソフトテニスの名門・三重高校へ進学。全国高校選抜大会での優勝など、団体戦の主力として活躍。U-17等のジュニア日本代表にも選出され、国際舞台への意識を高めました。
  3. 大学時代(早稲田大学):大学ソフトテニス界の絶対王者・早稲田大学へ進学。1年時からインカレ団体優勝に貢献。2年時には安藤優作選手とのペアでインカレダブルス優勝。さらに大学生にして内本隆文選手と組み、世界選手権日本代表予選会を制する快挙を成し遂げました。
  4. 実業団(NTT西日本):2021年入社。全日本社会人優勝、国別対抗戦(コリアカップ)優勝、アジア大会日本代表など、プロフェッショナルとして第一線で活躍中。

プレースタイル分析

「大型サウスポー」の戦術的優位性

内田選手の強さは、単なる身体能力だけでなく、左利きの特性を最大限に活かした「理詰め」のテニスにあります。

1. クロス展開での「正対」

右利きの後衛が打つ順クロス(右対角線)に対し、左利きの内田選手はフォアハンドボレーで対応できます。リーチが長く力強いフォアでポーチに出られるため、相手後衛に強烈なプレッシャーを与えます。

2. 「運ぶ」バックボレー

彼自身が得意とするバックボレーは、弾くのではなく「面に乗せて運ぶ」コントロール重視の技術。相手の足元やオープンスペースへ的確に落とす技術は芸術的です。

3. シングルスもこなすオールラウンダー

前衛でありながら全日本シングルスで準優勝(vs 上松俊貴選手)するほどの実力者。左利き特有の逃げるサーブや、安定したストローク力で、シングルスプレイヤーとしてもトップクラスの評価を得ています。

使用用具

感覚を論理的に落とし込む用具選び

ラケット:YONEX VOLTRAGE 7VS (ボルトレイジ 7VS)

内田選手が愛用するのは、コントロールとスピードを両立させた「VS」シリーズ。彼はこのラケットについて、「面の下部に丸みがあることでスイートスポットが広がり、球持ち感が上がった。それでいて弾きも良い」と独特のフィーリングを語っています。

セッティングとシューズ

  • ガットテンション:27ポンド
    トップ選手としてはやや低めの設定。これはボールを瞬時に弾くのではなく、一度ガットで「掴む」感覚を重視しているためです。このセッティングが、彼の精密なバックボレーを支えています。
  • シューズ:YONEX/POWER CUSHION SONICAGE (ソニケージ)
    軽量性と俊敏性を重視したモデルを選択。180cmの大型選手ですが、ネット際での素早いフットワークを何より大切にしている証拠です。
  • サイズ:27.5cm

※YONEX公式動画でのインプレッション発言に基づく。

主な戦績とパートナー

大会名成績パートナー / 備考
全国小学生大会優勝 (小4・小5連覇)山根 稔平
インカレ (ダブルス)優勝 (2018)安藤 優作 (早稲田大)
世界選手権代表予選優勝 (2019)内本 隆文
コリアカップ (国別対抗)優勝 (2022)日本代表チーム
全日本シングルス準優勝 (近年)(決勝 vs 上松俊貴)
全日本選手権 (天皇杯)3位NTT西日本

人間性とオフコートの魅力

コート外では「愛されキャラ」

試合中のクールで知的な表情とは裏腹に、オフコートでは明るいキャラクターで知られています。

  • 歌が上手い:趣味に挙げるほど歌が好きで、その腕前はファンの間でも有名。
  • ゲーマー:スマホゲーム「ブロスタ」にハマっているなど、現代の若者らしい一面も。
  • 発信力:YouTubeでのラケット解説など、自身の感覚を言語化して伝える能力に長けており、知的なファン層を惹きつけています。

Hitting編集部 注目ポイント

「感覚」を「論理」に変換する知性

内田選手の最大の魅力は、卓越した「言語化能力」にあります。多くの選手が「感覚」で済ませてしまう打感やプレーの意図を、彼は「なぜそうなるのか」「どういう物理現象が起きているのか」という論理的な言葉に変換して説明できます。

この高いテニスIQがあるからこそ、状況に応じた最適なプレー選択が可能となり、また指導者やインフルエンサーとしても高い影響力を持っているのです。180cmのフィジカルと、緻密なロジックを併せ持つ彼は、まさにソフトテニス界の「インテリジェンス・ビースト」と呼ぶにふさわしい存在です。

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