丸山海斗(まるやまかいと)選手:技術、プロキャリア、そして「One Team」における全貌分析レポート
本レポートは、現代ソフトテニス界における最も注目すべきアスリートの一人、丸山海斗(まるやまかいと)選手に関する包括的な分析資料です。彼は身長181cmという規格外のフィジカルポテンシャル、繊細なボールタッチ、そして強靭なメンタリティを兼ね備えたトッププレーヤーです。本稿では、プロフェッショナルという新たな道を切り拓いたパイオニアとしての彼の全貌を、技術・戦術・キャリアパスのあらゆる視点から網羅的に分析します。
主要出典:ソフトテニスマガジン、YONEX公式サイト、One Team公式情報、YouTube動画 等。
目次
プロフィールと身体的特性の深層分析
前衛として規格外の181cm
| 項目 | 詳細データ | 備考・出典 |
|---|---|---|
| 氏名 | 丸山 海斗(Maruyama Kaito) | |
| 生年月日 | 1997年12月4日 | |
| 出身地 | 大阪府 | |
| 身長 | 183cm | 日本人前衛としては大型のフィジカル |
| 体重 | 73kg | |
| 利き手 | 左 | |
| 血液型 | O | 蚊に刺されやすい!? |
| ポジション | 前衛(ネットプレーヤー) | |
| 所属 | Up Rise(プロフェッショナル契約) | 元アキム所属 |
| 代表 | One Team(ナショナルチーム) | 2016年〜断続的に選出 [1, 2] |
181cmの身長がもたらす「制空権」の支配
丸山選手が持つ181cmという高さは、前衛として圧倒的な優位性を生み出しています。
- 立体的な守備範囲: 通常の選手では下がる判断を迫られるロブに対しても、その場でのジャンピングスマッシュやハイボレーで処理し、相手後衛の「ロブで逃げる」選択肢を封じます。
- リーチとパッシングコースの限定: ネットでのウィングスパンの長さが、物理的にパッシングショットの通過コースを狭め、決定力を高めます。
- サーブの角度と初速: 高い打点から繰り出されるサーブは鋭角に突き刺さり、サービスゲームでの優位性を確立する基盤となります。
キャリア・ヒストリー:栄光と決断の軌跡
王道から革新へ
1. 黎明期:大阪の虎・上宮時代(〜2015年)
小学3年生で「岸和田ジュニア」に入団後、中学・高校はソフトテニスの名門中の名門・上宮に進学 [1]。この激戦区で、前衛のポジショニングと勝つためのメンタルコントロールを徹底的に学びました。
2. 黄金期:明治大学での学生タイトル独占(2016年〜2019年)
大学ソフトテニス界の雄、明治大学に進学。1年生の2016年にはナショナルチームに選出され、アジア選手権ダブルス銀メダルを獲得 [1]。インカレ(全日本学生選手権)ダブルス優勝や団体優勝を経験し、2019年には前衛ながら全日本学生シングルスで準優勝を果たすなど、学生界で圧倒的な実績を残しました。
3. 転換期:プロへの挑戦と「Up Rise」の結成(2020年〜現在)
大学卒業後、一度実業団チームの「アキム」に所属しますが、2021年終盤にソフトテニス界で極めて少数派の「プロ」転向を宣言 [5]。上宮の後輩である上岡俊介選手とペアを結成し、チーム名を「Up Rise」として活動を開始しました。これは、実業団中心のソフトテニス界における大きな「革新」であり、プロアスリートとしての価値を高める戦略的な決断です。
「One Team」における役割と国際大会実績
日本代表の中核として
「One Team」とは、ソフトテニス日本代表チームの愛称であり、丸山選手は2016年以降、この選抜メンバーの常連として国際舞台を牽引しています [3]。
日本代表における丸山海斗の立ち位置
- プロフェッショナルとしての矜持: チームの多くが実業団所属である中、プロ契約選手として参加し、勝利へのシビアなメンタリティを注入する役割を担っています。
- ダブルススペシャリスト: 長年の国際経験に基づいた、ペアを変更しても機能する柔軟性と、勝負所での爆発力は監督陣からの信頼が厚い要素です。
- 次世代への架け橋: 学生選手たちの模範となるエリートキャリアを持ち、若手に対する指導的な役割も果たしています。
国際大会での実績(One Teamとしての成果)
| 年度 | 大会名 | 種目 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 2016 | 第8回アジア選手権 | ダブルス | 銀メダル |
| 2024 | 第17回世界選手権 | 国別対抗 | 金メダル |
| 2024 | 第17回世界選手権 | ダブルス | 銅メダル |
| 2024 | コリアカップ | 国別対抗 | 金メダル |
| 2024 | 第9回アジア選手権 | ダブルス | 銀メダル |
| 2024 | 第9回アジア選手権 | ミックス | 銀メダル |
プレースタイルと技術的特異点
ホールド感とピンク色のガット
「ボールを持つ」感覚とブルズインパクト
丸山選手のプレーの根幹にあるのは、「ガットでしっかりボールを持ってコントロールする」感覚です [6]。
- ホールド感の追求: ボレーの際に「弾く」のではなく、インパクトでわずかにボールを「吸い付かせる」動作を入れ、相手の威力を吸収しつつ、自身のコントロールを乗せて打ち出す技術です。
- ゴーセン・ブルズインパクト: この感覚を実現するため、彼は自身が共同開発に関わったゴーセンのストリング「ブルズインパクト」や「ガムゾーン」といった、球持ちに優れたガットを選択しています [4, 7]。
モチベーション・エンジニアリングとしての「ピンク」
丸山選手を象徴するもう一つの要素が、一貫して使用する「ピンク色のガット」です。
- 心理的アンカー: 「ガットがピンク色だとモチベーションが上がる」と公言しており、この色は彼にとって戦闘モードへスイッチを入れる心理的な「アンカリング」の役割を果たしています。
- ブランディング: 視覚的な差別化により、「丸山海斗=ピンクのガット」という独自のブランドイメージを定着させています。
「動けるだけ動く」初期動作のキレ
181cmの長身でありながら、彼の守備範囲を異次元の広さにしているのが、ネットプレーにおける「スタートのキレ」です。
- 脱力と瞬発力: 常に脱力状態を保ち、相手が打つ瞬間に爆発的な力を発揮して一歩目を踏み出すことで、フェイントへの反応修正が利きやすく、長身のハンディを克服しています [6]。
使用ギアとスポンサーシップ戦略
YONEXのトップアスリート
メインスポンサー:YONEX(ヨネックス)
丸山選手はYONEXとプロ契約を結んでおり、ウェア、ラケット、シューズに至るまで同社製品の提供を受けています。YONEXの公式サイトでは「日本(one team)」カテゴリーのトップアスリートとして紹介されています [2, 3]。
ラケットとストリング
- 使用ラケット: VOLTRAGE8v
- 使用ストリング: カラーはこだわりのピンク。ミクロパワー
- テンション: 縦33、横32。
メディア戦略と普及活動:YouTuberとしての顔
競技の魅力を発信するプロ
プロアスリートとして、丸山選手は競技活動だけでなく、情報発信にも力を入れています。
YouTubeチャンネル「丸山海斗 / Kaito Maruyama」の分析
自身の試合動画、技術解説、対談などを配信し、ソフトテニスファンにとって貴重な教材を提供しています [8]。
- 戦略的意義: 自身のプレーを公開するリスクを負いながらも、競技の普及(「ソフトテニスの魅力を伝えたい」という想い)と、自身のファン獲得を両立させる、プロならではのメディア戦略です。
SAGA SSPを通じた地域貢献
佐賀県スポーツ協会(SAGA SSP)のアスリートとして活動しており、2024年の佐賀国スポ(国民スポーツ大会)での優勝を目標に掲げています [9]。結果としては準決勝敗退という結果でしたが、多くの名シーンが生まれ感動あふれるプレーに心動かされました。
- 地方創生への寄与: 大阪出身でありながら佐賀県の代表として活動することで、スポーツを通じた関係人口の創出や、地方のジュニア育成に貢献しています。
Hitting編集部 注目ポイント
「安定」を捨てたプロフェッショナルとしての重責
丸山海斗選手の最大の注目点は、彼の「プロフェッショナル」としての生き方にあります。
ソフトテニス界のトップ選手の多くが、安定した実業団の雇用(NTT西日本、ヨネックスなど)の中でプレーを選択する中、彼はそれを捨て、自身の競技活動そのものが生計に直結するプロ契約(Up Rise)の道を選びました。これは、日本ソフトテニス史における極めて重要なケーススタディであり、後進の選手たちに「プロソフトテニスプレーヤー」という職業の可能性を提示したパイオニアと言えます。
プロとして結果を求められる厳しい環境が、彼に国際舞台でのさらなる強靭なメンタリティを与え、日本代表「One Team」の精神的支柱としての役割を担わせていると分析できます。
最強の奥様
実は一緒に練習している奥様も、文大杉並高校出身の実力者。アジアミックスダブルスでは船水颯人選手とペアを組むほどの実力で、おそらく”夫婦ミックスダブルス”を行ったら確実に最強クラスの実力を誇る方々なのです(笑)
主要な戦績(詳細版)
2020年以降の主要タイトル
| 年 | 大会名 | 種目 | パートナー | 成績 |
|---|---|---|---|---|
| 2020 | JAPAN GP | ダブルス | 上岡俊介 | 優勝 |
| 2022 | 全日本シングルス | シングルス | – | 3位 |
| 2023 | 全日本シングルス | シングルス | – | 3位 |
| 2024 | 西日本選手権 | ダブルス | 上岡俊介 | 準優勝 |
| 2024 | 全日本社会人 | ダブルス | 上岡俊介 | 準優勝/Best4 |
| 2025 | 全日本ミックス | ミックス | 天間麗奈 | 優勝 |
| 2025 | 西日本選手権 | ダブルス | – | 優勝 |
パートナーシップと化学反応
戦術眼が光るペアリング
上岡 俊介(Up Rise):長年のプロパートナー
上宮中・高の後輩であり、プロ転向を共にした長年のパートナー。「あうんの呼吸」を持つこのペアは、上岡選手の豪打で崩し、丸山選手がネットで決める王道にして最強のパターンを持ちます。互いに高い攻撃力を持つ「ダブルフォワード(ダブル前衛)」的な超攻撃的な展開も可能です。
天間 麗奈:全日本ミックス優勝の立役者
2025年の全日本ミックスダブルスで優勝を果たしたパートナー。女子選手をリードし、コート全体をカバーする丸山選手の能力は、彼の戦術眼の高さとゲームメイク能力を象徴しており、ミックスダブルスにおいてもトップクラスの実力を示しています。
今後の推測
プロとしての価値を高める戦い
丸山海斗選手は、自身のプレーを通じて「ソフトテニスをメジャーにしたい」という野心を持っています。彼の今後のキャリアは、「One Team」の国際大会での成績(世界選手権連覇やアジア競技大会金メダルなど)はもちろんのこと、国内トップツアーであるJAPAN GPや全日本選手権での活躍に集約されます。
特にプロとして、自身が共同開発した「ブルズインパクト」などのギアや、自身のYouTubeチャンネルを通じて、競技シーンでの圧倒的な結果と、ファンへの訴求力を両立させ、ソフトテニス界のビジネスモデルそのものを変革していく役割を担っていくでしょう。
フォトギャラリー
丸山海斗選手の雄姿





結論:丸山海斗が描く未来図
丸山海斗選手は、「記録」と「記憶」に残るトッププレーヤーです。世界選手権金メダルなどの輝かしい実績は、彼が歴史に名を残す選手であることを証明しています。それ以上に、実業団という安定を捨て、プロとしてリスクを取りながら挑戦し続ける姿勢は、「プロフェッショナルの体現者」として、ソフトテニス界の常識を覆し、新たな歴史を紡いでいくパイオニアです。彼を追い続けることは、ソフトテニスの進化そのものを目撃することと同義であると言えます。
参考・出典
- ソフトテニスマガジン・ポータル [1]
- Kaito Maruyama 丸山海斗 | YONEX SOFT TENNIS [2]
- Athletes アスリート | YONEX SOFT TENNIS [3]
- 【丸山海斗プロ共同開発】BULLSIMPACT(ブルズインパクト)開発インタビュー【ソフトテニス】 [4]
- ソフトテニスのプロ選手情報・最新ニュース | OneTeam – JP.NET [5]
- 日本最強の前衛!丸山海斗(アキム)が強すぎな4つの理由!前編【ソフトテニス】 – YouTube [6]
- ソフトテニス ガット ゴーセン ブルズインパクト BULLSIMPACT SSBI11 1張分 [7]
- 丸山海斗official – YouTube [8]
- プロとして、結果を追い求める – SAGA SSP [9]
- one team公式HP
- 明大スポーツ新聞
(注)本文は上記一次情報・報道を基に作成しました。戦績や所属は更新されることがありますので、公式発表や大会主催者の情報を随時ご確認ください。
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