【広岡 宙(NTT西日本)徹底解剖】技術・戦術・ギア。ソフトテニス界を変革する若きプレイヤー
現代ソフトテニス界で最も革新的なプレーヤー、NTT西日本所属の広岡 宙(ひろおか そら)選手。強烈なストロークと超人的なネットプレーを融合させ、従来の分業制を打ち破る「ハイブリッド・バンガード」としての地位を確立しました。2023年アジア大会での金メダル獲得から、2025年最新のラケット・ガット情報まで、彼の全てを網羅的に分析します。
最終更新:2025年12月
広岡宙 プロフィール&フィジカルデータ
エリート街道を歩む「パワー型」アスリート
広岡選手の最大の特徴は、ソフトテニス選手としては重厚な体型から繰り出される「重いボール」です。このフィジカルが、彼の代名詞となっています。
| 項目 | 詳細 | 備考 |
|---|---|---|
| 氏名 | 広岡 宙(Hirooka Sora) | |
| 生年月日 | 1999年6月2日 | (2025年シーズン時点26歳) |
| 所属 | NTT西日本 | NTTビジネスソリューションズ エンタープライズビジネス営業部 [2] |
| 出身地 | 兵庫県 | |
| 出身ジュニア | 三田ジュニア | |
| 出身中学 | 上宮中学(大阪) | |
| 出身校 | 上宮高校(大阪) | ソフトテニス界の名門 |
| 身長/体重 | 172cm/77kg | 筋肉量が非常に多い「パワー型」体型 |
| 利き手 | 右 | |
| ポジション | 前衛 | |
| 血液型 | A |
上宮高校から実業団への異例の選択
通常、多くのトップ選手が大学進学を選ぶ中、広岡選手は高校卒業後すぐ、実業団の雄・NTT西日本に入社しました。これは、彼の才能が傑出していた証であり、船水颯人選手ら日本代表クラスがひしめく「虎の穴」でキャリアをスタートさせたことが、後の「世界のヒロオカ」へと変貌する最大の要因となりました。
キャリアの軌跡:アジアの頂点へ
栄光と進化のクロニクル
2023年:杭州アジア大会での金メダル獲得
広岡選手が世界にその名を轟かせた最大の功績は、第19回アジア競技大会(杭州)での活躍です [1]。
- 戦績:男子団体 金メダル獲得(日本代表 TEAM JAPAN)
- 役割:団体戦において、シングルスもダブルスもこなせる「柔軟性」を提供。国際大会の独特なプレッシャーの中で、日本チームの層の厚さを象徴する存在となりました。
2024年:「広岡・長江」ペアの完成と国内タイトル奪取
アジア王者としての経験を経て、国内で不動の地位を築いたのが、長江光一選手とのペアリングです。この年の主要タイトルとして、インドアシーズンの最高峰の一つであるルーセントカップ 東京インドアで優勝を果たしました [3]。
- パートナー:長江光一(ダブルフォワード戦術のパイオニア)
- 戦術的意義:広岡選手の「実行するテニス(パワー)」と、長江選手の「考えるテニス(戦術)」が融合。広岡選手がダブルフォワード戦術に完全に適応したことを証明しました。
🎯 主要戦績 詳細クロニクル
シングルス、ダブルス、国際大会を含む全世代の輝かしい記録
直近の主要戦績(2022年〜2024年)
| 年 | 大会名 | 種目 | 成績 | パートナー |
|---|---|---|---|---|
| 2024 | 第17回 世界選手権大会 | 国別対抗 | 優勝🥇 | 日本代表 |
| 2024 | 第52回 全日本社会人選手権 | ダブルス | 優勝🥇 | 長江 光一 |
| 2023 | 第78回 天皇賜杯・皇后賜杯 全日本選手権 | ダブルス | 優勝🥇 | 長江 光一 |
| 2023 | 第4回 全日本ミックスダブルス選手権 | ミックスダブルス | 優勝🥇 | 長谷川 憂華 |
| 2023 | 第30回 全日本シングルス選手権 | シングルス | ベスト4 | ― |
| 2022 | 2022仁川コリアカップ | シングルス | 準優勝🥈 | ― |
| 2022 | 第29回 全日本シングルス選手権 | シングルス | 3位🥉 | ― |
| 2022 | 第50回 全日本社会人選手権 | ダブルス | 3位🥉 | 橋本 旭陽 |
日本代表歴と国際舞台での活躍
- 日本代表選出歴: 2019年、2020年、2021年、2022年、2023年、2024年(6年連続選出)
- 2024年 第17回世界選手権大会: 韓国・安城市で開催された大会で、日本代表として国別対抗優勝に貢献。
- 2022年 仁川コリアカップ: シングルスで準優勝を達成。
ジュニア・実業団時代の主要タイトル
- 全日本実業団選手権: 優勝(2018年)
- 日本リーグ(NTT西日本): 優勝(2018年、2019年、2020年)
- インターハイ団体: 優勝(2015年)
- 全中団体: 優勝(2012年、2014年)
- 全小個人: 優勝(2011年)
天皇賜杯・皇后賜杯、世界選手権、ミックスダブルス、社会人選手権など、主要タイトルを網羅的に獲得しており、広岡選手の「オールラウンダー」としての実績の厚みを裏付けています。
チーム内ライバル関係
NTT西日本では、内本隆文・上松俊貴ペアという現日本最強の壁が立ちはだかっています。また現在は韓国リーグに挑戦中の船水颯人選手とNTT西日本所属の上松俊貴選手のペアは当時大きな壁として、ライバル関係にありました。2024年の天皇賜杯(全日本選手権)では船水ペアが優勝を飾りました [4]。この「打倒・船水」という明確な目標が、広岡選手の成長を極限まで高める最大の要因となっています [9]。
技術分析:破壊的ストロークとダブルフォワード
ソフトテニスの未来を体現する「ハイブリッド・バンガード」
1. 質量をぶつける「重いストローク」
広岡選手のストロークは、身長172cm、体重77kgという重厚なフィジカルから生まれる「重さ」が特徴です。単なるスピードだけでなく、ボールインパクトの瞬間に全質量を乗せることで、バウンド後に失速しない推進力が生まれます。特に砂入り人工芝(オムニコート)では、低く滑る打球が相手の反応時間を奪います。
2. ダブルフォワードへの超適応能力
広岡選手は、ネット際での超人的な反応速度とスピードで、現代最先端戦術である「ダブルフォワード(ダブル前衛)」を完璧にこなします。
- スピード: 一歩目の爆発力が凄まじく、相手のリターン時には既にネットのプレッシャーエリアに侵入しています。
- ラケットワーク: 後述の「軽量かつ高剛性」なラケットを使用することで、超高速なボレー戦に対応しています。
3. シングルスにおける「下がりながらの強打」
YouTube等の分析でも注目されているのが、ベースラインより後ろに下げられても、体幹がブレずに強力なカウンターショットを放つ能力です [6]。これにより、相手は守勢に回ったはずの広岡選手に逆に攻め返されるという、心理的圧迫を受けることになります。
使用機材(ギア)の科学:2025年最新モデル
広岡選手のプレースタイルを支える最適解
ラケット:MIZUNO ACROSPEED V-PRO(ミズノアクロスピード V-プロ)
広岡選手はミズノのACROSPEED V-PROシリーズを愛用しています。
- 広岡スペック:彼は「思い切り振りたいので、ラケットは軽くした」と語っており [5]、「軽量 × 高剛性」のスペックを選択しています。これにより、自身のパワーでボールを潰しつつ、ネット際での高速操作性を確保しています。
シューズ:WAVE EXCEED TOUR 6 OC
広岡選手はミズノのWAVE EXCEED TOUR 6 OCを愛用しています。
使用ストリング(ガット):G-TOUR S/ブルズインパクト クロス
広岡選手はゴーセン(GOSEN)と契約を結んでおり、今年には共同開発した、新製品ストリング「METEORSTRIKE(メテオストライク) SSMS11」 も発売されています[7]。
- 製品特性:「流星(メテオ)」のような圧倒的なスピードと衝撃力を生み出すことをコンセプトとしており、広岡選手のようなハードヒッターが求める「突き刺さるような打球」を実現します。
Hitting編集部 注目ポイント
試合内外でのギャップ
特に広岡選手と元ペアである上岡選手の絡みは彼のプレーから想像もできないくらい穏やかでギャップをものすごく感じます(笑)
- 打倒・上松: チームメイトである絶対王者・上松俊貴選手を「超える」という明確な目標が、広岡選手のモチベーションを極限まで高めています。毎日が世界大会決勝のような練習環境が、彼の進化を支えています [4, 9]。
- 長江光一との融合: ベテラン・長江光一選手とのペアは、広岡選手の身体能力を「戦術の深み」で最大限に活かす黄金律です。長江選手が描く繊細な戦術を、広岡選手が圧倒的なパワーで具現化するという役割分担が、2024年東京インドア優勝 [3]という結果に結びつきました。
このチーム内ライバル関係と、ベテランとのペアリングによる戦術眼の獲得こそが、広岡選手が「至宝」と呼ばれる所以です。
2025年シーズン以降の展望
国内最大のタイトル:天皇杯の奪取
26歳という年齢は、アスリートとしてフィジカルと経験が最も高いレベルで噛み合う入り口です。広岡選手には国内最大の、天皇賜杯(全日本選手権)のタイトルを再び奪還してほしいという願いがあります。
- 天皇杯奪取: チームメイトの上松・稲門クラブ所属(2024 現在は韓国挑戦中)の船水ペアからこのタイトルを再び奪取した時、名実ともに彼が日本のエースとなるでしょう。
- 次世代への影響: YouTube等のメディア露出にも積極的であり、彼のプレースタイルを真似る中高生が急増しています。技術や理論を言語化する能力も高く、指導者・インフルエンサーとしての側面も担っています。
まとめ
広岡宙選手は、破壊的なストロークとダブルフォワードへの適応力を兼ね備えた、まさに「進化し続ける求道者」です。2025年シーズン以降は、再びの天皇杯奪取、そして名実ともに日本ソフトテニス界のエースとなる軌跡を辿るでしょう。彼の放つ一打一打は、ソフトテニスの未来そのものを切り拓いています。
参考・出典
- 廣岡 宙|ソフトテニス|杭州アジア大会|JOC – 日本オリンピック委員会 [1]
- シンボルチーム|ソフトテニス部 – 通信・ICTサービス・ソリューション – NTT西日本 [2]
- 【NewsRelease】東京インドア2024 男子優勝は広岡・長江ペア [3]
- 船水&上松ペアが2年ぶりに王者に返り咲き!第79回全日本ソフトテニス選手権 [4]
- F SPEED:広岡宙選手(NTT西日本)スペシャルインタビュー!【ソフトテニスラケット】 [5]
- 【かっこいいポイント】広岡宙選手の踏み込めない時のストローク【2019年ソフトテニス茨城国体】 [6]
- 【広岡 宙の「飛躍」】METEORSTRIKE / メテオストライク SSMS11【GOSEN(ゴーセン)】 [7]
- 【12月発売】船水・広岡ペアが履くシューズが超最先端モデルだった!【ソフトテニス】 [8]
- 2024全日本選手権 予想&展望@天皇杯 : ソフトテニヌの王女様の小部屋(チーム内競争関連) [9]
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